結論!賃貸なの?持ち家なの?
よく見かけるこの論争、私の親の世代(50〜60代)でもあったそうです(笑)
そんな論争に終止符を打ちましょう!
結論!その人が大切にしている価値観によります
私は、家についてこれまで100時間以上勉強して、その結果、これが一番誠実な答えだと思うに至りました
逆に明確に「こっち!」と言えるのは、その情報の発信者が「こっちだと思って欲しい」という場合だけだと思います
ハウスメーカーなら持ち家、不動産仲介業者なら賃貸を推す、といった具合です…
私は一般人の立場ですから、最もニュートラルだと思って意見を言っていますので、ご安心ください(笑)
この記事では、価値観と照らしてどちらが良いかをご自身で判断するための材料を「定量的な話」と「定性的な話」の両面から解説していきます
手っ取り早く両者の得失だけ知りたい方は、目次から「まとめ」へどうぞ!
定量的な話
モデルケースで比較してみよう
定量的な話は実際に想定して比較してみましょう
モデルケースの場合、賃貸で8,708万円、持ち家で8,400万円との計算結果になり、単純比較では持ち家の方が若干お得という結果になりました
…ここで終わらず必ず続きを読んでください!
- 下記の合計で8,708万円
- 22〜29歳までの8年間は1Kで一人暮らし=家賃5万円/月×12ヶ月×8年=480万円
- 30〜32歳までの3年間は2LDKへ引っ越し=家賃10万円/月×12ヶ月×3年=360万円
- 33〜は手狭になって3LDKへ引っ越し、第二子が大学卒業の55歳までの23年間生活=家賃13万円/月×12ヶ月×23年=5,148万円
- 56〜85の30年間は1LDKで夫婦でコンパクトに生活=家賃7万円/月×12ヶ月×30年=2,520万円
- 引っ越しが4回発生=50万円/回(引っ越し費用以外の一時的な費用含む)×4回=200万円
- 下記の合計で8,400万円
- 22〜29歳までは賃貸の場合と同じ=480万円
- 30歳の結婚を機に持ち家を購入=土地+住宅4,300万円を金利1.5%の35年返済の住宅ローンで購入=5,530万円
- 住宅購入後の56年に渡って固定資産税が発生=15万円/年×56年=840万円
- 住宅購入後の10年に1回メンテナンス発生=300万円/回×5年=1,500万円
- 引っ越しが1回発生=50万円/回(引っ越し費用以外の一時的な費用含む)×1回=50万円
- この他、自分の利益にはならないものの、死亡時に売却できれば子供にキャッシュを残すことができる可能性
参考:住宅ローンシミュレーション
シナリオが変われば数字も変わる
でも、これはモデルケースに記載のシナリオが順調に進んだ前提での話で、ここには「リスク」が表れていません!
色々なリスクはありますが、例えば「50歳で会社をクビになってしまい、近場で職が見つからず、引っ越しが必要になったケース」を考えます
賃貸の場合、身軽に引っ越しすることができるので、総費用は大きく変わりません
一方、持ち家の場合は、その時点で住宅ローンの残債が約2,100万円あります
その際に持ち家を売って残債を返済しようとすると、建物の価値はほぼありません
価値があるのは土地だけとなり、仮に土地が1,000万円で売れたとしても、1,100万円の残債との差分が損失になります
加えて、それ以降の住居費用は、賃貸の場合と同様にかかってくるので、賃貸の方が俄然有利となります
つまり、持ち家(特に戸建て)を購入した場合、途中で何らかの形で持ち家を売る必要性が生じるとほぼ確実に損をします
なので、一生その家に住み続ける人生を思い描けない場合は、賃貸をオススメします!
逆に、一生住み続けることが思い描けるなら、持ち家もアリだと思います!
ここで、「売れる持ち家を買えばいいじゃん」という声も聞こえてきそうですが、プロでも失敗することがある不動産投資で、一般人の私たちが優良物件を見極めることは難しいです
どうしてもという場合は、次の理由から選択肢を集合住宅に限ったほうが無難です
定性的な話
大まかな分類
定性的な話は、色々な見方があるので、あくまでも1つの考え方として聞いてください
私の考える「定性的に良い家」と言うのは「心身ともに健康的な暮らし」ができる家です
その上で重要になるのが、家を拠点とした外への動きやすさ「立地」と、家の中の暮らしやすさ「居住環境」だと思っています
それらの観点で、賃貸と持ち家を比較したのが、上のイメージです
立地の観点
まず、横軸の立地について、賃貸と持ち家というより、戸建てか集合住宅かで良し悪しが鮮明に変わります
先にも少し触れましたが、立地は圧倒的に集合住宅が優れています!
なぜなら、立地の良い土地は既に資本力の強い企業等に所有されており、一般人の私たちがそういう土地に住むためには、その企業等から供給される住宅を選択するしかないからです
もっと言えば、企業等は集合住宅や建売住宅を供給しますが、特に人気の駅前などの土地では、最も効率よく部屋を詰め込める(=効率よく家賃収入が期待できる)集合住宅が建てられることがほとんどだからです
なので、立地を重視する方には、賃貸でも持ち家でも集合住宅がオススメです!
居住環境の観点
縦軸の居住環境は、広さ、間取り、冬の暖かさや夏の涼しさ(温熱環境)といったものです
広さや間取りは目に見えるので、好みに合わせて選択することができ、賃貸と持ち家で明確な優劣はつきづらいです
ややこしいのは温熱環境です
温熱環境は目に見えない上に、家族の健康にとって非常に重要な要素です!
次のデータからも、温熱環境の重要性がうかがえます
1 年間で約 17,000 人もの人々がヒートショックに関連した入浴中急死をしたと推計され、その死亡者数は交通事故による死亡者数(4611 人)をはるかに上回ります。
出典:東京都健康長寿医療センター報道資料
そんな温熱環境を大きく左右するのは「断熱性・気密性」で、それらは目に見えない断熱材や施工方法・技術に影響されます
ここで、他人のために家を建てることを想像してみてください
その場合、あなたは見えないところにお金をかけるでしょうか?
私はきっと、見えない部分への出費は必要最低限にとどめ、人気の設備や見た目を良くすることにお金を回そうと考えてしまいます(笑)
きっとそうでないという方もいると思いますが、現実世界では確実に少数派でしょう…
そして、この「他人のために建てられた家」に当てはまるのが、賃貸や建売の家です
ですから、一般的に賃貸や建売は、温熱環境が不十分となりやすいのです(※根本的な問題は建築基準法で温熱環境について規定されていないことで、一概にそうした施主が悪いとは言えないと思っています)
ここで、賃貸の代表とも言える集合住宅については別の見方があるので、補足します
集合住宅は構造上、(特に中間階は)部屋が直接外気に接している部分が少なく、夏の暑さや冬の寒さが侵入しにくいため、戸建てと比べれば温熱環境は良い傾向にあります
つまり、集合住宅の温熱環境は、不十分ながらも致命的な失敗にはなりにくい、ということです
さて、ここまでで触れられていないのは、「自分のために建てる」戸建の注文住宅だけとなりましたが、これならば温熱環境が十分ということではありません
繰り返しですが温熱環境は見えない部分で差が出るので、自分が施主としてそこに拘らなければ、不十分な温熱環境となってしまう懸念があるのです
注文住宅を検討する際は、断熱性や気密性に関する知識を身に付け、ハウスメーカーや工務店が提示する温熱環境の良し悪しを判断できるようになる必要がありますが、これについては別の記事で詳しく書こうと思います
以上の理由から、居住環境を重視する場合は、しっかりと知識を身につけた上での戸建ての注文住宅がオススメです!
まとめ
賃貸と持ち家について「定量的な話」「定性的な話」の両面に触れて私なりに考えてみました
ここまでで、賃貸、持ち家の特徴について、次のように整理できました
賃貸 | 持ち家 | |
---|---|---|
集合住宅 | ◎ 金銭的な自由度が極めて高い ◎ 立地が良い ◯ 温熱環境はそこそこ |
◯ 金銭的な自由度はそこまで低くない ◯ 子供にキャッシュを残せる可能性 ◎ 立地が良い ◯ 温熱環境はそこそこ |
戸建て | ◎ 金銭的な自由度が極めて高い ◯ 立地がそこそこ △ 温熱環境は良くない |
施主が自分の場合 △ 一生住まなければ金銭的に大きく損 ◯ 子供にキャッシュを残せる可能性 △ 立地が悪い ◎ 温熱環境は良くできる(勉強要) |
施主が他人の場合 △ 一生住まなければ金銭的に大きく損 ◯ 子供にキャッシュを残せる可能性 ◯ 立地がそこそこ △ 温熱環境は良くない |
この記事を読んでくださった皆さんなら「みんなこうだから」「あれはダメって聞いたから」ではなく、しっかりとした自分の考えのもとで「こうしたい!」と判断できるはずです!
これからの人生プランを考えている方にとっての判断の一助、すでに方針を決めた方の判断の裏付けになれれば幸いです
ちなみに、私自身は戸建ての注文住宅を計画中です!
そちらについても、また追って情報発信していこうと思います
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